西村京太郎作品といえば、トラベルミステリーだ
西村京太郎氏の作品といえば、「津川警部」シリーズが有名だ。西村氏の作品はやはり人から紹介され、「トラベルミステリーを読むなら、この人の本を読まなければいけない」とまで言われ読み始めたのがきっかけ。
紹介された時には「時刻表を使ったトリックなどを描いている」と聞き、時刻表に苦手意識があった自分としては、本の中身自体に集中したいのに、時刻表を浮かべながらは、面倒だなと勝手に思い込んでいた。
しかし、読んでみるとこの「時刻表を使ったトリック(アリバイ工作など)」が実に見事なもので、驚き、そして面白く読めるようになった。
でも、よっぽど鉄道に興味があり、時刻表をよく読んでいないと、思いつかないだろうなと感心する。
西村京太郎氏の作品数は多く、どれを選んでよいのか迷う。とりあえず、今回は夢中になって読んでいた頃を思い出しながら、十津川警部シリーズ以外も含め5冊選んでみた。
寝台特急殺人事件
本書「寝台特急殺人事件」は西村京太郎氏が書いた鉄道ミステリーの第一作だ。そして西村氏自身が「自薦ベスト5」に入れているくらいの作品だ。
内容はタイトルにある通り、寝台特急が舞台となるが、寝台特急の扱われ方も作中には、その人気具合が伝わる。JRがまだ国鉄と呼ばれていた時に描かれた作品だ。今の何事にもスピードを競うよな風潮とは違い、全体的にどこか懐かしい。
寝台特急も需要が少なくなり、運行が終ってしまったものも多い。本当は実際に自分で寝台車に乗り、この「寝台特急殺人事件」を読むことができたらいいだろうな。
七人の証人
本書「七人の証人 十津川警部」は十津川警部が登場はするが、トラベルミステリーとは作風が違う。十津川警部が何者かに誘拐されてしまう。そして連れて行かれた場所が無人島。但しそこは、ある差殺人事件が起きた場所を再現されたものだ。
この作品の中では、主な登場人物は十津川警部をはじめ、七人の証人と十津川警部を誘拐した犯人の合計9名だけである。
無人島に殺人現場とその周辺を再現させてしまうようなスケールの大きな内容だが、証人たちの人物像と証言をもとに、真相解明に挑む十津川警部が描かれた作品だ。
華麗なる誘拐
本書「華麗なる誘拐」は面白い。今まで読んだ本の中でも特に印象に残っている作品だ。何故かと言うと「日本の国民全員を誘拐した」という犯人からの連絡。
日本国民全員ってどうするんだろう?なんて思いなが読み進めると、「誘拐」ってこういうことも「誘拐」になるんだと、大胆な発想に驚いたものだ。
天使の傷跡
本書「天使の傷痕(しょうこん)」は、トラベルミステリーの印象が強い、西村氏の作品の中でも、社会問題をとりあげ、社会派推理小説と呼ばれるようなものだ。
この本を読んでいると、「もしかしたら、この人が犯人」なんて見当をつけたくなるけど、実は。。という展開。最後まで気が抜けない作品だ。
名探偵なんか怖くない
最後に本書「名探偵なんか怖くない」は以下の「名探偵シリーズ」の4部作の1作目になる作品だ。
有名なミステリー作家の作中に登場する名探偵は「エラリー・クイーン」、「メグレ警部」、「エルキュール・ポアロ」そして「明智小五郎」の豪華名探偵4人が、共演し、3億円事件の実態に迫ってもらうという大胆なストーリーだ。
この作品を読んでいると、十津川警部を書いている西村氏なのか?いい意味で違う印象の本だ。
読書好きなら。。。